葬式 を確実に手にする方法
実際、最大手ゼネコンなどの売上高は1991年度から1999年度にかけて約4割減少しましたが、営業利益が赤字になることはなかったのです。
通常、売上高が約4割も減少すれば、製造業であれば確実に赤字に陥ります。
ゼネコンのコスト構造は、受注環境の変化に対して非常に柔軟なものとなっています。
回外注費の難しさと奥深さ 原価の約65%を占める外注費を厳密に分解すれば、その費用は材料費と労務費に分かれるはずです。
例えば、ゼネコンが電気工事や空調工事を外注した場合、ゼネコンは材工一式で電気工事会社と請負契約を結びます。
電気工事会社は主要なケーブル、受変電設備、配電盤、照明機器などを自らで調達しますが、細い電線や金具類などは材工一式で外注業者に発注します。
この外注業者がさらに似たような原価構成を持っています。
つまり、外注費を分解しようと試みても、1次下請、2次下請とどこまでいっても外注費という壁にぶつかる構造を持っています。
この構造が重層下請構造です。
元請ゼネコンにとってはコスト構造の流動化に結びつきますが、重層下請構造の末端の業者に対して過度な負担が発生するケースもあるとのことです。
元請ゼネコンと下請業者は運命共同体という関係にあります。
過度な金銭的負担を下請業者に与えれば、品質の劣化などを促し、結局は元請ゼネコンのブランドカを喪失し、次の工事を受注することができなくなります。
1次下請、2次下請、あるいは3次下請などのレベルによって問題、課題は異なっていますが、アナリストが目にできるのは、1次下請レベルまでです。
アナリストがT次下請で目にするのは株式市場に上場している電気工事、空調工事などの設備工事会社です。
電気工事会社や空調工事会社はオフィスビルや工場などを直接発注者から受注するケースと、ゼネコンを経由して受注するケースに分かれます。
新築のオフィスビルなどにおいては、ほぼゼネコン経由と言ってよいでしょう。
ゼネコンの外注費の構造がどう変化しているのかを設備工事会社の業績を見ることによって推測することが可能なのです。
・ゼネコンと設備工事一利益率の方向性が乖離 1996年度頃までゼネコンの営業利益率と設備工事会社の営業利益率は同じように動いていました。
ゼネコンの営業利益率の水準は設備工事会社の営業利益率の水準を一定水準上回っていたものの、方向性は同じでした。
つまり、ある時期までゼネコンと1次下請である設備工事会社は運命共同体だったことが理解できます。
この動きに変化が出てきたのはここ10年のことです。
ゼネコンと設備工事会社の営業利益率の方向性が異なるようになってきたのです。
売上高営業利益率は売上高粗利益率から売上高販管費比率を差し引いたものです。
最初の5年はゼネコンが売上高販管費比率を大幅に引き下げたのに対して、設備工事会社では売上高販管費比率を引き下げることはありませんでした。
後の5年はこの動きに加えて、ゼネコンでは売上高粗利益率が改善傾向に入る一方、設備工事会社のそれは引き続き下落傾向にありました。
注目しているのは、後半5年の動きです。
ゼネコンの売上高粗利益率が上昇する局面があったにもかかわらず、設備工最大手ゼネコン4社の営業利益率(4社単純平均)事会社の売上高粗利益率は低下していました。
筆者はアナリスト活動を通じて、この営業利益率の格差は2001年度以降のゼネコンと設備工事会社の経営スタンスの違いと認識しています。
上場ゼネコンの多くは2001年度以降、受注姿勢を量から質に変化させました。
具体的には赤字工事を極力排除する受注姿勢に転換したのです。
この方針転換を説明するにはゼネコンにとっての赤字工事とは何かということについて説明する必要があるでしょう。
目ゼネコンにとっての赤字工事の意味 赤字工事には2つの種類があります。
第1は、発注者との契約時点においては十分な受注時採算が確保されていたにもかかわらず、施エミス、契約上のトラブル、事故などによって黒字工事が赤字工事になるケースです。
このケースも問題ではありますが、何百件もの工事のなかで、こうしたケースが一定の確率で出てくることはわかります。
問題は第2のケースです。
発注者との契約時点ですでに赤字工事と判断される工事で、過去の復元率(受注時採算から完成工事粗利益率までの回復度合い)をベースに回復度合いを勘案したとしても確実に赤字になることがわかっている工事を受注するケースです。
この2番目の赤字工事をなぜ受注するのかを理解するのは難しいと言えます。
筆者の過去の経験のなかでゼネコン関係者が語ったいくつかのコメントをここでは紹介したいと思います。
(1)特定顧客との長期的な取引慣行を重視 この特定顧客の業績がマクロ環境によって変動すると仮定した場合、業績が厳しい局面においてはゼネコンが“貸じを作るという意味で赤字受注し、この特定顧客の業績が回復したときにその貸しを返してもらいます。
単年度ベースでは赤字になったり、黒字になったりするものの、10年間を累計すれば黒字を確保できるというものです。
(2)利益よりは受注高、売上高を重視 公共工事を受注する際に必要な経営事項審査においては、売上高の多寡が評点に影響を与えるため、この評点を確保するためにも売上高規模は必要で、民間工事で赤字を出しても公共工事で取り返せるというものです。
(3)赤字工事は戦略的受注という位置づけ ゼネコンのビジネスの基本は発注者が完成品を見ることなく建設会社と請負契約を結びます。
したがって、当該建設会社のブランドカが極めて重要な要素となってきます。
ブランドカは過去の施工実績に裏打ちされたものでなければならず、過去の施工実績が重要な要素となります。
ゼネコンが新しい分野や新しい地域に乗り込む場合、この実績を確保するために価格競争に打って出ます。
競争相手よりも2割、3割低い価格を提示することで受注を獲得し、その分野あるいはその地域における地盤を確保するのです。
(4)営業部門の評価は利益率ではなく受注高 そもそも建設工事とは、工事途中で追加、変更になることが多々あり、利益が確定するのは竣工後というケースが多く、さらにその利益については施工部門の運営に依拠することが大きいのです。
したがって、営業部門の評価を受注時点の利益率とすることは現実的には難しいため、受注高を評価基準にする傾向があります。
こうしたケースにおいてゼネコンは赤字覚悟で受注することがあります。
しかしながら、こうしたことが行える大前提は、赤字工事を受注しても全体では黒字を確保できるということです。
もっと正確に言えば、必要とされる全体の利益額は確保できるというのが大前提です。
日なぜ赤字受注を回避するようになったのか 設備工事会社とゼネコンの営業利益率の方向性に乖離が発生したのは、両業界の経営スタンスの差ということを前述しました。
つまり、ゼネコンでは2001年度以降、赤字受注を回避する受注戦略に転換したのです。
問題は、なぜ戦略転換したのかです。
この戦略転換を読み解くには90年代後半以降のゼネコンの置かれた経営環境を思い出す必要があります。
80年代後半から90年代初頭にかけてゼネコンの多くは不動産に手を出しました。
その過程で膨大な有利子負債を抱え、90年代後半はその不動産処理と有利子負債の返済が経営の最大関心事になっていました。
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